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Q32 社会保障生計調査を使うとどう変わりますか?

厚労省の生活扶助相当CPIの計算では、テレビやパソコンなどのデジタル家電の影響が非常に大きく出ました。社会保障生計調査を使った計算に切り替えると、ここの影響が一気に小さくなります。

社会保障生計調査では、パソコンやテレビ、ビデオなどは「PC・AV機器」と分類しています。このPC・AV機器の支出額割合は、一般家庭の3分の1~4分の1ぐらいの水準なのです。これは極めて重要な事実です。

社会保障生計調査を使った計算をしたとき、計算結果が大違いになる項目は電気製品以外にもあります。2010年10月に4割近い値上げがあった「たばこ」です。2008年=100の2008年基準の価格指数で示すと、2008年と2009年が100、2010年は109.6、2011年が138.4となっています。

たばこがやめられない人にとっては、たばこは生活必需品。だから、貧しい世帯ほど支出全体に占めるたばこ支出の割合は高くなります。たばこ販売の世界では家電製品のリサイクルショップに当たるものがなく、貧しい人も1箱400円台のたばこをよく買っている、といった事情もあります。

こういった理由で、生活保護世帯のたばこの支出額割合は、一般世帯の4倍~6倍ほどもあるのです。生活扶助相当CPIの計算の際に、社会保障生計調査から得られた支出額割合の数字を使うと、たばこの価格指数上昇の影響で、生活扶助相当CPIの下落率が約1%も縮小します。

たばこの価格変化を示すグラフと、たばこやPC・AV機器の支出額割合を示す表を付けておきますので、じっくり確かめてみてください。

いのちのとりで裁判全国アクション

毎年の社会保障生計調査のデータが全部開示されているわけではありません。弁護士などに情報公開されたのは、個別品目ではなく品目グループごとの支出額割合がつかめるデータでした。

個別品目の支出額割合がつかめなければ、生活扶助相当CPIの正確な計算値は算出できませんが、多少アバウトな計算値なら出せます。

2008年の社会保障生計調査から得られたデータをもとに、2008年を基準年、2011年を比較年にしたラスパイレス方式で生活扶助相当CPIを計算してみました。出てきたのは厚労省の計算値とはかけ離れた数字。この数字が実態に近いと考えています。

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