物価指数の計算で使うデータは、各項目の支出額割合と価格指数です。そのため、支出額割合を現実に沿ったものにするのは非常に重要です。
その点、厚労省の生活扶助相当CPIの計算はいいかげんです。総務省統計局のCPI統計のサイトにある各項目の支出額割合の数字をそのまま使っているからです。
これは、統計局が実施している家計調査に基づいて作られています。家計調査の対象は一般世帯。厚労省は、一般世帯平均の支出額割合を生活扶助相当CPIの計算で使ったことになります。
貧乏な世帯と一般世帯平均の支出額割合は大きく違います。毎年の家計調査から、全体の平均の数字と、年収200万円未満の世帯の数字を取り出したのが次の表です。
消費支出の全部の合計を1万とした1万分比の数字になっています。食料や光熱水道費などの生活必需品では、支出額割合は年収200万円未満世帯の方が相当に高いです。
逆に、テレビやパソコンなどのデジタル家電は高価なので、年収200万円未満世帯では支出額割合がかなり低くなっています。
厚労省の計算は「生活保護世帯は貧乏」という点を無視した計算なので酷いと思います。生活扶助相当CPIの計算には、社会保障生計調査のデータから計算した支出額割合の数字を使うべきでした。
社会保障生計調査は、厚労省が毎年実施しており、個別品目ごとの平均支出額の数字も計算しています。それを使わなかったのはなぜか、生活扶助基準の全国の裁判で原告側が厳しく追及しています。