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Q28 生活保護世帯にはチューナーを無料配布しましたが…

それは決定的に重要で絶対に見落とせないポイントです。確かに当時、政府が生活保護世帯を対象にチューナーの無料配布事業を実施したのです。家計がアップアップの生活保護世帯に配慮した措置でした。

チューナーを使えば、古いテレビを買い替えることなく地デジ化に対応できました。一般世帯と違って生活保護世帯では、2010年でも「地デジ化=テレビ買い替え」という図式が一般世帯ほど明確には存在しなかったわけです。

生活保護世帯の収入や支出の動向がつかめる社会保障生計調査を厚労省が毎年実施しています。生活保護世帯が2010年に消費支出全体の何%をテレビ支出に充てていたかの数字も把握できる調査です。

しかし、弁護士らの情報公開請求で開示されたのは、2010年の個別品目の支出額割合が分かるものではなく、品目グループごとの支出額割合しかつかめないデータでした。それでも、テレビを含む「PC・AV機器」という品目グループの支出額割合を調べると、重要な事実が浮かんできました。

2010年のこの割合を一般世帯平均の数字である家計調査と社会保障生計調査で比べてみると、社会保障生計調査は家計調査の3分の1にも満たないのです。生活保護世帯では、2010年も一般世帯ほどにはテレビ購入熱が高くなかったことは確実でしょう。

いのちのとりで裁判全国アクション

厚労省の計算を分析すると、生活扶助相当CPIの変化率に一番大きな影響を与えた項目はテレビであることが分かります。

2008年~2010年の期間と2010年~2011年の期間の計算を、いつもの100万円ベース買い物かごの形で、テレビとテレビ以外の項目だけで示したのが上の図です。

2008年~2011年の生活扶助相当CPIの下落率は約4.8%。このうちの約2%がテレビの影響分なのです。このようなテレビの影響の大きさは、生活保護世帯の現実とはかけ離れています。

生活保護利用者には容認できない誤った計算です。

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