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Q25 小売価格と価格指数の変化率がずれていいのですか?

基本的には、価格指数の変化率は小売価格の変化率に連動します。

例外は、電気製品などで実施されている「品質調整」。これが実施されると、価格指数と小売価格の変化率がずれます。物価指数の計算では、基準時点と比較時点で品質や性能が同じ状態のものを比べるのが原則。

しかし、品質が大幅によくなったのに価格が変わらない場合は、お値打ちに買えたということなので、価格指数を下げて調整します。これが品質調整です。

2005年~2010年当時、パソコンやカメラについては、新製品が次々に登場。新銘柄は旧銘柄より大幅に性能が向上していました。

そこで、総務省統計局が品質調整を強力に実施して価格指数を激落させました。それによって、パーシェ方式で計算すると物価指数下落率への影響が異様に大きくなったのです。なぜなのか。今回も簡単なモデルで考えます。

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物価指数を計算する買い物かごに「デジタル家電」が入っています。基準時点と比較時点の価格は1台1万円と同じ、購入台数も1台で変わらなかった、と仮定します。

性能が大幅に向上したので、比較時点には価格指数が半分になった、という品質調整がされました。物価指数の計算上では、1台の価格が1万円→5000円と下がったわけです。

比較時点の購入代金は「5000円×1台=5000円」となります。しかし、このモデルの現実では、比較時点の代金は1万円なので、現実とずれます。こうした事態を防ぐため、品質調整したときは、それに見合うよう「数量が増えた」とみなすのがルールです。

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この場合は、数量が2倍に増えたとみなします。すると、品質調整した仮想現実の世界では、比較時点は「5000円×2台」で、合計代金は1万円です。図をよく見てください。つじつまが合った感じです。

しかし、物価指数の計算では具合が悪い。次の図の通りです。品質調整した仮想現実では、購入台数は基準時点が1台で、比較時点は2台。このため、購入台数はラスパイレス方式では両時点とも1台、パーシェ方式では両時点とも2台として計算します。その結果、デジタル家電の合計代金は、ラスパイレス方式では1万円→5000円、パーシェ方式では2万円→1万円という計算になります。

現実には、両時点とも1台1万円のものを1台買っただけ。しかし、パーシェ方式の計算では合計代金が1万円も減る。まるで魔法です。

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