厚労省は、生活扶助費で買う多くの品目についての消費者物価指数である「生活扶助相当CPI」という新たな指標を勝手に編み出し、その生活扶助相当CPIが2008年~2011年に4.78%下落したと説明しました。
この下落率は、物価指数に詳しい人が皆驚く異様に大きな数字でした。2010年を100としたCPIが、2008年104.5、2011年99.5だったと言うのです。CPIはコンシューマー・プライス・インデックスの略。消費者物価指数という意味です。
消費者物価指数(CPI)は総務省統計局の担当。CPI統計の一番基本は総合指数で、CPI統計の対象となるすべての品目から計算されています。
総合指数のこの40年のデータを見てみると、3年間の下落率が一番大きかったのは、2008~2011年の2.35%です。2010年を100とした総合指数は、2008年が102.1、2011年は99.7です。
生活扶助費で買う品目群で計算する生活扶助相当CPIだけがなぜ、この3年間の下落率が4.78%になるのか。生活保護世帯だけが激烈なデフレ状態にいたのか。そんなことは決してありません。
物価下落傾向がはっきりしていた2008年~2011年の物価下落率をデフレ調整の根拠にしたのも、極めて意図的で酷い話です。
2008年は、原油価格上昇などにより近年ではかなり物価が高かった年。「山高ければ谷深し」なので、そこから3年間の物価下落率は当然大きくなります。
2000年~2011年の総合指数と生活扶助相当CPIのグラフを見て頂ければ、2008年~2011年の3年間の物価変動を根拠にした厚労省の悪辣な意図が読み取れるはずです。
しかし、この3年間でも総合指数の下落率は2.35%に過ぎません。生活扶助相当CPIって何だ??? 疑問が膨らむのは当然です。