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Q13 厚労省の計算の枠組みは?

「生活扶助相当CPI」という言葉・計算方式をを編み出した厚労省

いよいよ厚労省の生活扶助相当CPIの計算をたどります。「生活扶助相当CPI」という言葉を編み出したのも厚労省。計算方法を考えたのも厚労省です。「生活扶助相当」というのは「生活保護制度の給付のひとつである生活扶助費で買う品目についての」といった意味です。

生活保護制度には、日常生活費を支給する生活扶助のほかにも、住宅扶助、医療扶助などがあり、そうした他の扶助制度で購入費が支給される項目については、生活扶助相当CPIの計算対象から外してあります。

ガソリンなど自動車保有者が支払う項目についても、生活保護利用者が原則として自動車を持たないため、計算対象外にしています。

こうした事情で、生活扶助相当CPIの対象となる項目すべてを合計した支出額割合は、CPI統計の対象のすべての項目の合計の支出額割合の6割強にとどまっています。ここで「項目」という言葉を使っているのは、厚労省が品目によって個別品目で計算していたり、いくつかの個別品目を会わせた品目グループで計算していたりするからです。

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前の時期と後の時期とで計算方式が異なる異常

もうひとつの重要なポイントは、生活扶助相当CPIの計算の際にも、2010年の前と後とで計算の対象品目が違っていることです。

総務省統計局が計算している通常の消費者物価指数と同様に「基準改定」というプロセスが存在しているわけです。2008年の生活扶助相当CPIは、485の個別品目を268項目にくくり直して計算。2011年については、517の個別品目を300項目にくくって計算しています。買い物かごは、2008年〜2010年のものと、2010年〜2011年のものとで明確に違うのです。図を参照してください。

通常の消費者物価指数の計算でも、2010年の前と後とで買い物かごは別物になっていますが、前の時期と後の時期ともラスパイレス方式で計算しています。

厚労省の計算が非常に特異なのは、前の時期と後の時期とで計算方式が異なることです。前の時期は厚労省の独自の方式で、よく調べてみると、実質的にはパーシェ方式と同じ内容です。後の時期は、ラスパイレス方式です。計算方式が違うと、測定される物価指数変化率には違いが出ます。

2つの期間で計算方式が異なるのは異常で、生活扶助基準をめぐる全国各地の裁判でも、原告側は厳しくその点を追及しています。

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