2025.11.25

私たちは、「最高裁判決への対応に関する専門委員会」に対して3通の意見書を提出し、専門委員会でも参考資料として配布され、HPにも掲載されています。
しかし、私たちの意見が正面から取り上げられて議論されることのないまま、専門委員会は、2025年11月17日、報告書をとりまとめました。
そこで、私たちは、直ちに以下の緊急声明「“蒸し返し”の再減額改定を断じて容認しない」を発出しました。関連する多数の報道もあわせてご覧ください。
2025年11月17日
いのちのとりで裁判全国アクション
私たちの頭越しに設置を強行された「最高裁判決への対応に関する専門委員会」が、本日、議論をふまえた修正を委員長に一任のうえ、報告書がとりまとめられることとなった。
報告書案には、①原告については改定前基準との差額保護費を全額支給するが、原告以外については再処分を行う見解、②原告についても原告以外についても、最高裁判決で違法とされなかったゆがみ調整(2分の1処理を含む)に加えて「デフレ調整」に代わる理由(低所得世帯の消費水準との比較)による再減額改定を行う見解、③原告についても原告以外についてもゆがみ調整のみを行う見解、④原告についてはゆがみ調整のみを行い、原告以外については加えて再減額改定を行う見解などが併記されている。
しかしながら、確定判決を受けた原告については、減額処分の取消しによって、改定前基準による保護費の給付請求権が生じていることについて争いはなく、新たな減額改定は違法な事後的不利益変更であって許されない。
生活保護法8条2項は「最低限度の生活の需要」を超える保護基準の設定を禁じているものではなく、本件訴訟の代表訴訟的性格や平等原則からすれば、すべての生活保護利用世帯について改定前基準による差額保護費の全額補償を行うのがもっとも簡明で被害救済にも資することは明らかである。
とりわけ、「デフレ調整」に代わる理由による再減額改定については、専門委員会の当初から、行政法の専門委員から、「前訴で主張し又は主張しえた理由に基づく再減額改定は反復禁止効、紛争の一回的解決の要請等に反し許されない」旨繰り返し指摘されてきた“蒸し返し”そのものであって、1年10カ月かけて行った平成25年検証をわずか3カ月の審議で上書きすることなど到底容認できない。
最高裁判決が違法としたのは、すべての生活保護利用世帯に適用されてきた厚生労働大臣告示なのであり、本件訴訟の代表訴訟的性格や平等原則からすれば、原告とそれ以外の生活保護利用世帯を分ける対応も許されない。かかる対応策が選択された場合には紛争の再燃が必至であり、早期全面解決が遠のくばかりである。
生活保護世帯の8割は高齢者世帯と重度の障害・傷病世帯であり、本件訴訟に立ち上がった1027名の原告のうち2割を超える233名以上が亡くなっている。私たちは、命あるうちの早期全面解決に向けた適切な政策判断と原告を含む生活保護利用世帯に対する直接の真摯な謝罪を改めて強く求めるものである。
以上
朝日新聞 2025年11月13日 (社説)「生活保護の判決 首相の反省と謝罪 形に」
京都新聞 2025年11月13日 「生活保護の減額、被害回復を急ぐべきだ」
信濃毎日新聞 2025年11月15日 「生活保護費減額 政府は責任に向き合え」
東京新聞 2025年11月17日 「生活保護の減額「違法」判決 高市首相は補償に指導力を」
愛媛新聞 2025年11月19日 「生活保護減額補償 政府は司法判断直視し救済急げ」(有料記事のため途中まで)
毎日新聞 2025年11月20日 「生活保護費の違法減額 失政直視し全員に補償を」
(専門委員会報告書とりまとめ前後の原告の声、弁護士の意見、有識者の指摘)
毎日新聞 2025年11月7日 「『生きてはいけないと言われているよう』生活保護基準の再改定案に」
Dialogue for People 2025年11月7日 「違法とされた生活保護基準引き下げ、被害回復はいまだ見えず」
北日本放送 2025年11月12日 「生活保護 厚労省が全額保証せず 富山市の原告団弁護士の受け止めは」
北海道新聞 2025年11月14日 「『利用者はいらないと言われているよう』 生活保護減額訴訟 全額補償見送り調整 北海道内の原告ら反発」(有料記事のため途中まで)
NHK 2025年11月17日 「生活保護“引き下げ違法”判決受け報告書案 専門家委 大筋了承」
生活ニューコモンズ 2025年11月17日 「生活保護基準の再減額を含む複数の案を併記 厚労省専門委員会 原告ら『断じて容認しない』」
TBSPotcast・荻上チキ・Session~発信型ニュース・プロジェクト 2025年11月18日 「【特集】生活保護費引き下げの違法判決から5か月~国の対応は進んだのか(久野由詠、中村真暁)」
弁護士JPニュース 2025年11月18日 「生活保護費の引き下げ『4000億円』全額補償“見送り”濃厚に? 『紛争の再燃が必至』原告ら緊急声明」
東京新聞 2025年11月20日(有料記事のため途中まで) 「どうなる『生活保護補償』 最高裁で敗訴したのに、頭を下げない厚生労働省…反省や検証なき幕引きに怒りの声が」