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東京高裁管轄の地裁では全勝。6月11日、地裁判決最後の前橋地裁で原告勝訴判決が言い渡されました!(判決全文・弁護団声明を掲載しています)

2025.4.21

東京高裁管轄の地裁では全勝。6月11日、地裁判決最後の前橋地裁で原告勝訴判決が言い渡されました!(判決全文・弁護団声明を掲載しています)|いのちのとりで裁判全国アクション

2025年6月11日午後2時30分、前橋地方裁判所民事第1部(小川雅敏裁判長)は、群馬県内の生活保護利⽤者10名が群馬県などを被告として提起した裁判で、保護変更決定処分(⽣活保護基準引下げ)の取り消しを命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。

全国29地裁で提起された31の同種訴訟では最後の地裁判決でしたが、地裁段階の判断は20勝11敗と原告側の圧勝で有終の美を飾りました。(高裁では12件中7勝しています。)

テレビ局や新聞社など多くの報道関係者も注目する中、傍聴可能数の倍の傍聴者が集まりました。県内ばかりでなく、埼玉や新潟、長野など県外からも多く集まりました。原告・支援者は85人にもなりました。

本判決の特徴は、厚生労働大臣の裁量判断の適否について、老齢加算最高裁判決が示した、生活扶助基準の改定に際して「厚生労働大臣の上記の裁量判断の適否に係る裁判所の審理においては、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等の観点から審査する」との判断枠組みを採用したことです(57頁)。

その上で、一般世帯と生活保護受給世帯の消費構造について検討し、平成20年から平成23年までの生活扶助相当CPIの下落率が、平成20年以降の生活保護受給世帯の可処分所得の相対的、実質的な増加による一般国民の生活水準との不均衡を正しく評価するものと言えるかについて検討したうえで、「少なくとも、デフレ調整を含む本件改定後の生活扶助基準の内容が健康で文化的な生活水準を維持することができるものであるとした厚生労働大臣の判断には、最低限度の生活の具体化に係る判断の過程に過誤、欠落があると認められる」とし、「本件改定は、その余の点について検討するまでもなく、同大臣の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして生活保護法3条、8条2項の規定に違反し、違法である」と断言しました(80頁)。

しかし「ゆがみ調整」については、「2分の1処理を含め、ゆがみ調整に関する厚生労働大臣の判断は、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性を欠くものということはできず、その判断に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとは認められない」とし、違法性を認めませんでした(69頁)。

また、原告らが求めた国家賠償についても、「原告らが主張する精神的苦痛による損害は、本件各決定を取り消す旨の判決又はその拘束力によって回復される性質のものというべきであり」、「原告らが、これらによって回復できない損害を被ったとまでは認められない」との判断を示しました(81頁)。

東京高裁管轄の地裁では全勝。6月11日、地裁判決最後の前橋地裁で原告勝訴判決が言い渡されました!(判決全文・弁護団声明を掲載しています)|いのちのとりで裁判全国アクション

判決後の記者会見・報告集会では、群馬の原告はバッシングを恐れて参加できませんでしたが、代わりに東京の原告から発言がありました。また、弁護団長の斎藤匠弁護士は「憲法の趣旨に沿う判決だ。自治体などは判決の意義を重く受け止めて控訴せず、国は真摯に謝罪するとともに、引き下げ前の生活保護基準に直ちに戻すことを弁護団として求める」と話しました。

また、集会後、生存権を守るぐんまの会の町田茂さんは「最高裁判決にタスキをつなぐことができました。皆さんに心から感謝を申し上げます」と話しました。


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