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5.27最高裁弁論(大阪、愛知)と同時集会開催。判決は6月27日(金)15時に指定

2025.6.4

5.27最高裁弁論(大阪、愛知)と同時集会開催。判決は6月27日(金)15時に指定|いのちのとりで裁判全国アクション

5月27日、最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)において、大阪訴訟と愛知訴訟の最高裁弁論が開かれました。宇賀裁判長は、それぞれの弁論終了時に、6月27日15時に判決を言い渡すことを伝えました。

弁論前に、最高裁前での宣伝行動を行い、弁論と並行して参議院議員会館講堂で集会を行いました。宣伝行動には約300人、集会には会場に310人、オンラインには107か所以上から参加しました。集会には、新聞・テレビ局等のメディアが多数取材に来られ、会場には熱気があふれました。

5.27最高裁弁論(大阪、愛知)と同時集会開催。判決は6月27日(金)15時に指定|いのちのとりで裁判全国アクション

5.27最高裁弁論(大阪、愛知)と同時集会開催。判決は6月27日(金)15時に指定|いのちのとりで裁判全国アクション

■開会のあいさつ

開会あいさつで、稲葉剛共同代表は、直前まで行われていた大阪訴訟を傍聴したことを話しました。原告側の迫力ある主張に比較し、国側の主張は「広範な裁量権」を何度も繰り返し、訴訟の途中から出してきた論理を展開したことを紹介し、裁判長にも空疎に聞こえたのではないかと話しました。この裁判は、生活保護は権利なのか恩恵なのかを問うものであり、国は恩恵だから「黙れ」と言っているのであり、私たちは「黙らないぞ」と言いましょう。判決日の6月27日は、私たちが「黙らなかった日」にしましょうと呼びかけました。

■大阪訴訟弁論の様子

脇山美春弁護士から、大阪訴訟弁論の流れが説明されました。原告側はパワーポイントを用意し、裁判官や裁判長に、わかりやすく主張を伝えました。

まず脇山弁護士から原告である小寺アイ子さんの陳述のポイントを話し、小寺さん自らが生活保護での生活実態を話しました。5人の裁判官は小寺さんの話をしっかり聞いていたように思います。

伊藤建弁護士から、判断枠組の解釈について、朝日訴訟から老齢加算廃止訴訟までの判断枠組の発展を説明した後、最高裁判決は「後戻りしてはいけない」と伝えました。 小久保哲郎弁護士からは、デフレ調整の論拠が成り立たないことが話されました。生活保護法の規定にのっとれば、国民感情などの曖昧模糊としたもので引き下げられてはならず、専門的知見に基づき決められなければならないと話し、「法律はかざりか」と締めました。

最後に、尾藤廣喜弁護士は、生活保護法がどのような法律かを、立法当時の厚生省保護課長である小山進次郎氏の解説書に基づき説明をし、現在の国の主張とは異なることを話しました。

■原告の発言

裁判で陳述した小寺アイ子さんは「これまで、地裁で大喜びし、高裁では残念な結果でした。裁判後の集会で今日のように励まされ涙が出ました。最後まで頑張ると決めてきました。皆さんのおかげでここまで来ました。最高裁という場で話しをさせていただきました。いつもは緊張しないのだけど、今回は緊張し、手も足も震えました。現状を訴えなければならないと頑張りました。」と話しました。

続いて、新垣敏夫さんが、小寺さんの体調不良等に備えて準備した意見陳述の内容を話しました。「今回の引き下げにより生活が苦しくなり、何かをあきらめないといけません。ケアハウスに住む高齢の母に会いに行くことを月2回にしなければならなかった。コロナ禍になり面会制限がありほとんど会えず、ようやく会えた時には衰えていた。その後亡くなり、もっと会えていたらとやるせない気持ちです。今後の引き下げが認められてしまったら、国にほかの社会保障を好き放題されてしまうことを危惧します。」と話しました。

このあと、大阪の支援者から最高裁を迎えた思いや社会保障裁判の流れを振り返り、この裁判の意義を話しました。また、会場やオンライン参加の原告が、大阪、愛知の原告を慰労するとともに、それぞれの裁判への思いを話しました。

■愛知訴訟弁論の様子

愛知弁護団の渥美雅康弁護士から、愛知訴訟弁論の様子が説明されました。まず久野由詠弁護士が引き下げによって生活保護利用者にどのような影響があったかを端的に話し、原告の千代盛学さんが生活の苦労を切々と訴えました。

続いて、渥美弁護士から法的な問題を話しました。一つ目は、デフレ調整の問題点、違法性と、もう一つは、違法性の判断枠組みです。いずれの点も、国は当初言っていたことと違うことを言いだしているので、新しい主張に焦点を当てて反論しました。

西山貞義弁護士は、司法のあり方、司法の存在やこの裁判に向かい合うべきかについて迫力をもって弁論しました。

最後に、内河惠一弁護士は、自らの生活保護利用の経験をふまえて、裁判に何が求められているのかを力強く話しました。

■原告の発言、弁護団の発言

千代盛学さんは、「これまでの地裁、高裁とは違う最高裁の雰囲気に圧倒されました。しかし、やりとげた気持ちがあります。高齢なのですぐ忘れてしまうので、事前に話すことを覚えるのが大変でした。」と話しました。

続いて内河惠一弁護士は、「私は病気の親が田舎で生活保護を受けたおかげで夜間大学を卒業できたし、弁護士になろうと思いました。今、日本が求められているのは誰もが安心して生活できる社会をつくること、社会保障制度をつくることです。生活保護を利用する人たちの気持ちを思い、生活保護法に従って判断をしてほしいと話しました」と話しました。

■弁護団の弁論までの努力

小久保哲郎弁護士から、弁論までの弁護団の準備や思いを話しました。「オンライン会議で5時間も喧々諤々(けんけんがくがく)の議論を重ねました。1000人の原告を300人の弁護士が支えてきた私たちらしく、1人でなく総勢10人で弁論をしました。何回も練習し、今日の日を迎えました。裁判長は、大事なところでは目をあわせうなずいてくれていました。」と話しました。

■閉会のあいさつ

共同代表の尾藤廣喜弁護士は、「国の弁論は、大阪・愛知訴訟のどちらでも、同じ内容でした。私たちは反論をしましたが、2つやらなければならないと思っていました。1つ目は、裁判官に生活保護の本質、どういうことに困っているかを理解してもらうこと。当事者の訴えです。裁判官は、皆、熱心に聞いてくれた。もう1つは、国がやったことのでたらめさです。デフレ調整やゆがみ調整の2分の1処理です。国のやり口を明らかにすることでした。判決はどうなるかは油断できません。最後の最後まで手を抜いてはいけません。そして判決後、われわれはどのように行動するかです。そのために議論していきましょう。この裁判のまとまりの良さを生かして、頑張っていきましょう」とまとめました。

5.27最高裁弁論(大阪、愛知)と同時集会開催。判決は6月27日(金)15時に指定|いのちのとりで裁判全国アクション

最後に、参加者全員で「生存権は人権まもろう憲法25条」「下げるな上げろ生活保護基準」のプラスターをかかげ、記念撮影をしました。

引き続いて、記者会見が行われ、多くの質問が出されました。最終弁論の様子は、さまざまなメディアでも紹介されています。

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