2025.4.14
【当日の録画がYouTubeで視聴できます】 提供「こばと通信」
「いのちのとりで裁判」4.3 決起大集会◆生活保護バッシングを乗り越えて~異常な日本の保護基準~物価高騰の考慮なし@参議院議員会館講堂
4月3日午後、参議院議員会館講堂にて会場210名、オンライン380名、合計590名の参加で、いのちのとりで裁判4.3決起大集会が盛大に開催されました。司会は、全国アクション共同代表の雨宮処凛さんと稲葉剛さんです。
全国アクション共同代表の吉田松雄全生連会長からの力強い開会あいさつに続き、稲葉剛さんから「生活保護バッシングを乗り越えてきた裁判の意義」についてお話しいただきました。
これまでのバッシングを押し返してきた取り組みに確信を持ちつつも、今後の新たなバッシングの可能性に備え、分断を乗り越える「私たち」の権利の闘いである、ことを改めて強調されました。
■稲葉剛さん資料(PDF)
続いて、事務局長の小久保哲郎弁護士から、「いのちのとりで裁判の現在地~相次ぐ高裁判決の傾向分析」を報告。直近の高裁判決ラッシュで5勝1敗であり、とくに大阪高裁勝訴と東京高裁2連勝の意義は大きく、最高裁判決を前に一連の訴訟全体の流れは確定したと強調されました。
■小久保哲郎弁護士資料(pdf)
また、福岡訴訟弁護団の高木健康弁護士は、「消費者物価上昇の生活保護利用者世帯への影響の検討」を報告。生活保護世帯の2025年1月の生活費支出は2020年と比べて16.4%(複数世帯)又は16.9%(単身世帯)も増えているとの試算を示し、2025年の生活保護基準について現基準に500円を加算するだけでは明らかに不十分であり、物価上昇を考慮した基準とすべきであることを指摘しました。
■高木健康弁護士資料(pdf)
■【グラフ】2020年と比較した2025年1月の生活扶助相当支出(pdf)
さらに各地の原告からも発言いただきました。
「風呂は週一回入れたらいい。ふだんはシャワーで我慢」(京都)。
「色々な値上がりが苦しい。夜は明かりをつけない、カップ麺を食べるなどして何とか過ごしている。安心して暮らしたい」(北海道)。
「生活保護を受けるには自尊心や世間体を投げ出さなければならない。最低限度の貧困者ということを受容することの痛み、そのような烙印を押される辛さに耐えている。一人ひとりは小さい力かもしれないけれどこれからも頑張る」(東京)。
「私たちのことを私たち抜きで決めないで」(埼玉)。
「施設にいる母親に会いに行く交通費を工面できず、会えなかったことを悔いている。姉には、その理由を用事があるとしか言えなかった」(大阪)。
「この裁判に勝って、生活保護利用者だけでなく、一般の人たちの生活も改善されるようにしたい」(愛知)。
さらに連帯のご挨拶をいただいたのは新里宏二弁護士(全国優生保護法被害弁護団)です。「優生保護法裁判といのちのとりで裁判は、人権とひとりひとりの尊厳を守る極めて困難、でも勝たなきゃいけないきょうだい訴訟だ。最高裁で勝つには被害事実の訴えが重要。公的責任を前提にした制度改定を勝ち取ろう!」と大きな声で力づけてくださいました。
さいごのまとめは共同代表の尾藤廣喜弁護士です。「当事者にもたらした被害の実態の深刻さと行政のでたらめさをしっかり明らかにすること。裁判に必ず勝って、引き下げの撤回と被害の完全回復、生活保障法の制定等やるべきことがたくさんある。最高裁が安心していい判決が出せるよう、わたしたちは引き続き広く国民に訴えていかなければならない」とよびかけ、会場いっぱいに拍手が広がりました。
※ご発言いただいた国会議員の皆様
柴田かつゆき衆議院議員・立憲民主党
田村貴昭衆議院議員・日本共産党
やはた愛衆議院議員・れいわ新選組
天畠大輔参議院議員・れいわ新選組
山添拓参議院議員・日本共産党
大椿ゆうこ参議院議員・社民党
永江孝子参議院議員・無所属
打越さく良参議院議員・立憲民主党
福島みずほ参議院議員・社民党
(ご来場のみ)
倉林明子参議院議員・日本共産党
藤原のりまさ衆議院議員・立憲民主党
集会後、引き続き記者会見が行われ、多くのメディアから熱心な質問が出されました。
【決起大集会を詳しく報じるメディアの一例】
生活保護基準引き下げは「違憲」か? 最高裁での上告審前に原告ら集会、“バッシング”との戦いも振り返る | 弁護士JPニュース