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450名の参加で「下げるな!上げろ!」生活保護基準予算編成直前 緊急院内集会、大成功!

2024.12.9

450名の参加で「下げるな!上げろ!」生活保護基準予算編成直前 緊急院内集会、大成功!|いのちのとりで裁判全国アクション

12月4日、参議院議員会館講堂にて、生活保護基準予算編成直前緊急院内集会を開催しました。会場190名、オンライン130拠点から260名、合計450名の参加がありました。また会場には国会議員13名、国会議員秘書13名、新聞・テレビ局等のメディア9社が取材にこられ、会場には熱気があふれました。

■集会の趣旨

450名の参加で「下げるな!上げろ!」生活保護基準予算編成直前 緊急院内集会、大成功!|いのちのとりで裁判全国アクション

開会のあいさつで、新里宏二弁護士(全国クレサラ・生活再建問題対策協議会代表幹事)が、生活保護を利用しながら「生活苦」で自殺する人が118人と1年で40%近く増えている状況を説明し、「異常な物価高なのに、さらなる生活保護基準引下げを行うのは命への冒涜・暴挙であり、当事者の声を聴き、引き下げを止めなければいけない」と集会の趣旨を話しました。

新里弁護士の報告「生活苦による自殺者数」(PDF)

■生活保護基準引き下げるどころか上げるべき

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小久保哲郎弁護士から、生活保護基準引き下げ問題の現状が説明されました。 コロナ禍、物価高になる以前の2019年に、国は生活保護水準を引き下げる案を公表しており、ほとんどすべての世帯が引き下げられる予定でした。ただし社会情勢を見るとして、2020年から引き下げは行われず、水準は据え置かれたこと、そして現在、物価高が続いているにもかかわらず、特に財務省は引き下げ実施を求めていることが報告されました。

小久保弁護士の「基調報告」(PDF)

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続いて、福岡弁護団の高木健康弁護士から、総務省が公表している消費者物価指数は2020年から2024年にかけ大きく上昇しており、特に生活保護世帯の家計に占める割合の高い食費や光熱費が高騰していることから、実質的購買力を維持する観点からは、13%以上の引き上げが必要であることが説明されました。

高木弁護士の報告「物価上昇の影響の検討」(PDF)

また、財務省は、下位10%の低所得世帯の消費が1.6%しか伸びていないとしていますが、高木弁護士の試算では9.5%以上であり、財務省の主張が疑わしいことが明らかにされました。

高木弁護士の報告「財務省主張の検討」(PDF)

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布川日佐史法政大学教授からは、ドイツの生活保護水準の決め方が紹介されました。近年、ドイツでは直近の物価高に対応するため法律改正までして保護基準が大幅に引き上げられていること、保護基準を下げないことが法律に明記されていること、その結果、生活保護世帯の実質購買力が維持されるだけでなく、課税最低限の引き上げにもつながっていることが報告されました。

布川教授の報告「ドイツに学ぶ」(PDF)

■生活保護を利用している当事者の声

1人目は、うつ病を患いながら、5人の子どもを育てているシングルマザーの方です。
いつもお金のことに不安があり、精神的に辛くなる、3人の高校生は部活動をしており、朝夕の補食も含めて弁当を持たせているが、もっと栄養の良いものを持たせたい、冷蔵庫が壊れたとき買い替えることができず知人から中古を分けてもらうまでの2か月冷蔵庫なしの生活を強いられた、今より月2万円保護費が多い、引下げ前の2012年の基準のままだったらどれだけ助かったか、と話しました。

2人目の難病の女性は、近くのスーパーの見切り品を買い求める際に仲良くなったおばあさんについて話しました。
おばあさんは、70歳を超すまで働き、年金だけで暮らすことができず保護利用にいたりました。身寄りはなく、節約を重ねる日々でした。エアコンが故障したものの、大家や福祉事務所に相談してもなんともならず、暑い日々を過ごさざるをえませんでした。しばらく見かけないので、家の近くに行って消息を尋ねたら、おばあさんは、熱中症のため自宅で倒れて亡くなっていたことを知りました。女性は、とても悲しい、死人に口なしにしたくない、自分も同じ状況で他にも人知れず亡くなっていく方がいるかもしれないと訴えたくてこの場に参加した、と声を強めました。

3人目のシングルマザーの方は、夫のギャンブル依存等で離婚前の暮らしは大変厳しく薄氷の上を歩くような生活でした。離婚後、生活保護を利用することができ、生活は大変ながらも安定しました。来年から、生活保護費が削減されると聞いているが、以前の私のような生活が生活保護を利用していない低所得世帯の暮らしであり、支出を抑えることしかできなかった生活と比較をして、生活保護費を下げようとするのはおかしいと訴えました。

4人目は40代男性です。うつ病と皮膚炎を患い、生活保護を利用しながら簡易宿泊所で生活しています。お弁当も値上がりし、食事の回数を控えると栄養が足らず、医師に叱られます。そんな生活でも、食費は生活保護費の54%になります。働くために学びたいが、費用をまわせないのが辛いと言います。生活保護基準を引き下げるのはやめてほしいと話しました。

5人目は、60代男性です。40代で福祉職に転職し、両親の介護を担ってきました。非正規の福祉職場を転々とし、2019年から保護を利用するようになりました。生活保護基準をデフレが原因で切り下げたというなら、インフレの今、早く元に戻してほしい。付け焼き刃の給付をいくらしても、私たちは生活困窮から抜け出せない。憲法25条にはほど遠く、健康を維持するのがギリギリの状態ですと訴えました。

なお、当事者の声の全文は「生活ニュースコモンズ」で読むことができます。

■ともに声を上げる各団体から

中央労福協事務局次長の竹内広人さんは、物価高の中、本来は基準の引上げが必要であり、今日の話を聞いて何が出来るか、加盟団体とのネットワークに伝え、相談事業でも共有していくと話しました。

2023年1月17日中央労福協談話「生活保護基準の予算審議にあたって」

全国青年司法書士協議会会長の坂田亮平さんは、3つの要望として、①当事者の命をまもること、②物価スライド方式に変更し、生活保護費を引き上げること、③生活保護制度を使いやすくすることをあげました。また3月に亡くなった司法書士の仲道宗弘さんが熱心に桐生市生活保護問題に取り組んでいたことにふれ、遺志を継いで引き続き声をあげていきたいと語りました。

全国青年司法書士協議会2024年10月2日「猛暑において生活保護利用者の命を守る措置を講じる等生活保護制度の改善を求める意見書」

司法書士の福本和可さんは、コロナ禍以降、「なんでも相談会」を定期的に開催し、国に要望をあげて来たが、最近は物価高による生活苦に関する相談が増えてきていると話しました。生活保護利用者からの具体的な相談内容を紹介し、これまで国は何をしてきたのか、真摯に対応していれば救われる命があったはずだ、速やかに生活保護基準をあげるべきだと声を強めました。

福本司法書士の報告「なんでも相談会事例報告」(PDF)

反貧困ネットワークの瀬戸大作さんは、最近は貧困によるSOSが急増しており、女性が多くなっていることを話しました。SNSを通じた相談の45%が女性で、都内の複数の公園で身を隠して暮らしている女性もいます。また相談者のうち精神疾患をもつ人は80%にものぼり、精神疾患は、経済苦、孤独、虐待やパワハラが起因していると話しました。

全国生活と健康を守る会連合会(全生連)の前田美津恵さんは、生活保護基準の引き上げを求めて国会議員に要請を重ねる中で、前厚生労働大臣の武見敬三議員が、「最低賃金含めて全体の賃金が引き上がっているときに、生活保護に関しても引き上げは当然だと思っている。」と心強い発言をしてくれたことを紹介しました。

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閉会のあいさつは、いのちのとりで裁判全国アクション共同代表の尾藤廣喜弁護士から、私たちは① 「いのちのとりで訴訟」を最高裁で勝ち切る、②生活保護基準額を絶対に引き上げなければならない、③夏季加算の創設を求める、④生活保護法から、権利保障を明確にした生活保障法へ改正する、という4つのことをこれからも追及していくとし、引き続き声を上げていくことを確認しました。

450名の参加で「下げるな!上げろ!」生活保護基準予算編成直前 緊急院内集会、大成功!|いのちのとりで裁判全国アクション

集会の進行は、雨宮処凛さん(作家)と稲葉剛さん(つくろい東京ファンド)が務めましたが、来年には予想される最高裁判決を見据え、署名活動にも力を入れようと呼びかけて、集会を締めました。

最高裁統一署名はこちらから

会場にご参加くださった国会議員(発言順)

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石橋通宏議員(立憲民主党)

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倉林明子議員(日本共産党)

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辰巳孝太郎議員(日本共産党)

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大椿ゆうこ議員(社会民主党)

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小池晃議員(日本共産党)

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山本太郎議員(れいわ新選組)

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篠田奈保子議員(立憲民主党)

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藤原のりまさ議員(立憲民主党)

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やはた愛議員(れいわ新選組)

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天畠大輔議員(れいわ新選組)

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田村貴昭議員(日本共産党)

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池田まき議員(立憲民主党)

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尾辻かな子議員(立憲民主党)

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