TOP > ニュース > 東京地裁行政専門部で2例目の勝訴判決!国が依拠する最高裁判例解説を書いた岡田裁判長も引下げは違法と断罪

ニュース

東京地裁行政専門部で2例目の勝訴判決!国が依拠する最高裁判例解説を書いた岡田裁判長も引下げは違法と断罪

2024.6.3

2024年5月30日、東京地裁民事第51部(行政専門部)で2例目の原告勝訴判決が言い渡されました。

裁判長の岡田幸人裁判官は、老齢加算訴訟最高裁判決の担当調査官として、その判例解説を書いた人物です。

その解説が、国の広い裁量を認めるような内容であったことから、国側は、岡田解説を繰り返し引用し「錦の御旗」のように依拠してきていました。 その岡田元調査官が自ら国の主張と異なる判断を示したことの意味には極めて重いものがあります。

しかも、その内容を見ると、まず、規範部分では、勝訴判決ラッシュの流れをつくった2022年6月24月の東京地裁(清水知恵子裁判長)判決と同一線にある判断を示しています(50ページ以下)。清水判決には大変な説得力があり、その後の勝訴判決ラッシュの流れを作りましたが、清水判決の正しさが岡田判決によっても認められたということになります。

しかも、岡田判決も、「財政事情」を考慮できるのは、基準が最低生活の需要を超えていて引下げが容認される場面であることを明確にしています(51ページ)。

また、岡田判決は、あてはめ部分の「デフレ調整」の個別論点については、一定の留保をつけながらも「ひとつだけでは違法事由とはいえない」という趣旨の抑制的な判断を積み重ねていきます。これは、国側の主張やこれを鵜呑みにした請求棄却判決への配慮を示したものといえます。

そのうえで最後(87ページの⑺)に、留保してきた事情が「複合的、重畳的に存在」することを再度振り返り、「生活保護世帯と一般世帯の消費構造の違い」というキーポイントをしっかりと押さえて総合考慮することで国が独自の物価指数である生活扶助相当CPIに基づき主張する「4.78%の可処分所得の相対的・実質的増加」につき、「保護受給世帯の可処分所得の相対的、実質的な増加を正確に表すものであるとはいい難く、また、保護受給世帯に影響した実際の物価変動率よりも下落幅が大きく算出されている可能性が無視し得ない程度に高い」として違法判断を導いているのです。

国側に迎合的で慎重姿勢に流れようとする裁判所からみても無視することができない説得力のある内容になっているといえます。

本判決が今後の判決や訴訟全体に与える影響は極めて大きいと考えられます。

現在、大阪訴訟、愛知訴訟がいずれも最高裁判所第三小法廷(宇賀克也裁判長)に係属していますが、担当する最高裁調査官(つまり岡田元調査官の後輩たち)に対しても強烈なメッセージになるはずです。

実は、この裁判は、私たちも把握できない中、私たちが勝ち取ってきた勝訴判決の数々を活用しながら、一人の原告と一人の弁護士によって闘われていました。判決後直ちに担当弁護士の方と連絡をとり、今後の連携協力を確認し合うことができました。

いのちのとりで裁判は、これまで「29地域、30訴訟」として取り組んできましたが、これからは「29地域、31訴訟」が緊密に連携しながら、最高裁での勝訴をめざすことになります。6月13日に予定されている3つ目の東京地裁(行政部)判決の帰すうを含め、引き続きご注目とご支援をお願い致します。


いのちのとりで裁判全国アクション判決全文

» お知らせ一覧にもどる


Copyright (C) いのちのとりで裁判全国アクション All Rights Reserved.

PAGE TOP