2022.5.25
2022年5月25日、熊本地裁において、保護費の減額処分の取消しを命じる勝訴判決が言い渡されました。原告勝訴判決は、2021年2月22日の大阪地裁判決に次ぎ、全国2例目となります。
熊本地裁判決は、大阪地裁判決と同様に、特異な物価上昇が起こった平成20年を起点とし、生活扶助相当CPIという独自の計算により被保護世帯の消費実態とはかけ離れた物価下落率を算定した「デフレ調整」の違法性を認めました。
さらに熊本地裁判決は、これにとどまらず、①生活保護基準部会が検証した「ゆがみ調整」による数値を増額分も含めて独断で2分の1としたこと、②そもそも独断で「ゆがみ調整」に加えて「デフレ調整」を併せ行ったことも違法であると認めた点において、踏み込んだ内容となっています。
「生活保護基準が国民の生存権を保障した憲法25条1項の趣旨を具体化した重要なものであること」をふまえて裁判所の審査が行われるべきとする判決は、上記の諸点が、生活保護基準部会等の専門的検討を経ていないことを直截に問題視しており、今後の同種訴訟に与える影響は大きいと考えられます。
判決後、報告集会がハイブリッド方式で行われ、地元や全国の原告や支援者らと喜びを分かち合いました。