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節約重ねてぎりぎりの生活|当事者の声

原告A.Mさん(第9回期日意見陳述要旨)

私は昭和9年、名古屋市で裕福な家庭の6人きょうだいの3番目として生まれ、6歳まで乳母がついていました。

30代で結婚し夫は事業を始めましたが、平成16年ころ、裏書きした手形が不渡りになり、数千万円の負債を抱え、取立屋が押しかけてきました。

夫は借金取りを恐れて家にも帰ってこなくなりました。私は夫に代わって債権者と話し合い、夫に廃業させ、従業員にも退職金を支払いました。

このためまったくの無一文となり、私が72歳のときに生活保護を受給するようになりました。

以後、生活費は切り詰めてぎりぎりの生活をしています。食事も特売品を買い、夏はシャワーで体を拭くだけにし、湯船にお湯をはっても、その水でトイレを流すようにしています。

エアコンは夏も冬も全く使いません。夏は暑さを我慢するしかなく、冬は電気毛布で暖をとっています。家はすきま風がひどく冬の寒さはこたえます。

私は近所の宗教団体が行う宗教行事の準備や後片付けやお掃除などを手伝い、お供え物のお菓子や宗教行事で使うごはんを少し分けてもらって食費を浮かせています。しかし、お供え物のお裾分けを期待して手伝うのは人間としてはたいへん惨めな状況だと思っています。

私は現在82歳で最高齢の原告ですが、大腸癌の手術をし、その後大腸ポリープが見つかり摘出手術を受けています。このほか右膝や腰、左股関節が悪く、目がよく見えないときがあります。

医療費を生活保護費から支払ってもらっていることには大変感謝していますが、一昨年8月、自転車事故で怪我をしたとき、吹田市役所から「医療扶助は出せません。加害者に支払ってもらって下さい」と言われました。加害者に請求しても誠実な対応がなく、弁護士さんに相談せざるを得なくなりました。

また、大腸ポリープの経過観察や右膝や腰痛の診察を同じ病院で受けたいと思い、タクシー代を吹田市役所にお願いしましたが「タクシーを利用して通院する必要性がない」と言われました。しかし、右膝の痛みや腰痛のためタクシーなしでは病院に通えず、弁護士さんに相談せざるを得なくなりました。

私は生活保護制度にはたいへん感謝しています。しかし、節約に節約を重ねてぎりぎりの生活をしているのに、その保護費でも高すぎるとして引き下げることは本当に正しいことなのでしょうか。

裁判官には、このような生活保護利用者の生活実態をしっかり理解していただき、公正な判断をしてもらいたいです。

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