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引き下げは障がい者の尊厳踏みにじる|当事者の声

上野眞治さん(第15回期日意見陳述要旨)

在宅生活からグーループホームへ
私は1954年4月、兵庫県の福崎町で生まれました。生まれつきの「脳性小児マヒ」のため姫路市の養護学校に入学しましたがその翌年、父が他界。養護学校を中退し、以後長い在宅生活となりました。

私が44歳の頃、私を介助していた母が認知症になったため在宅生活を諦め、グループホームに入り、生活保護の受給を始めました。

自分らしい生活がしたい
しかしグループホームは、集団で生活するため、どうしても、日々の生活を集団に合わせなければならず、自分らしい生活を送れませんでした。そこで私は、一人暮らしをするため、貯金を始めました。私のような重度の障がい者が、一人暮らしをするには、たくさんのカベがあります。

特に、車椅子に対応するための住宅の改装費が必要でした。しかし、そのための貯金が多額になったとして生活保護を打ち切られてしまいました。

生活保護引き下げは死活問題
2004年10月、私は一人暮らしを始め、障害基礎年金やわずかな工賃と貯金の取り崩しで生活をしていました。しかし貯金が底をつき、2005年1月からまた生活保護を利用するようになりました。

結局、障がい者は、生きていくため生活保護制度に頼らざるを得ないのです。

ところが、障がい者の生活にとって、命綱ともいえる生活保護制度は、約5年ほど前から、引き下げられるようになりました。障害者基礎年金まで引き下げられてきています。収入が減る一方で、消費税増税など支出は増える一方です。

生活保護や年金に頼らざるを得ない私のような障がい者にとっては、まさに死活問題なのです。

私が使っている電動車イスやリフトは耐用年数である6年に満たない間に故障すると修理費は自己負担となります。車イスのバッテリー交換は5、6万円、リフトの修理は約40万円ほどです。このままでは機器の修理代も払えません。

一人暮らしを始めて14年、電化製品の買い替え時期がきていますが、型が古く故障しても交換する部品は無いと言われており、買い替えのための貯金はありません。

種々のお祝いや冠婚葬祭も出席を諦めたり、知らなかったふりをして遠ざかるようなことをしなければなりませんでした。とても侘しい思いがしています。 生活保護を受けている者は人並みの付き合いもしてはいけないのでしょうか。

障がい者であっても有意義に暮らしたい
障がい者も同じ人間です。生活保護の引き下げは、この国の社会保障や人の尊厳に関わる問題です。私は生きている限り、何年かかっても、訴え続けて行きたいと考えています。

最後に、裁判所の皆さんに言います。「とにかく生きられれば良いでしょう」 という考え方はしないで「障がい者であっても、有意義な人生を送ることを目標にしても良いんだ」という障がい者の願いを汲み取って正当な判断をして欲しいと思います。

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