2024.10.30
2024年10月28日、岡山地方裁判所第2民事部(上田賀代裁判長)は、岡山県内在住の生活保護利用者ら38名(提訴時46名)が岡山県下の市町村及び国を被告として提起した裁判で、保護変更処分の取消しを命じる原告勝訴の判決を言い渡しました。
これまで言い渡された地裁判決では29例目で18勝目、高裁判決も含めると19勝目となる勝訴判決でした。
判決では、老齢加算廃止最高裁判決を参照しながら判断枠組みを立てた上で、国が最近になって朝日訴訟最高裁判決の判断枠組みに拠るべきだと主張し始めた点について、行政庁が裁量的判断を行うに当たって適切な判断過程と手続を経るべきことについて何ら司法的統制が及ばないことになりかねないと厳しく否定しました。
また、ゆがみ調整について国の主張を軽信することなく、完全なゆがみ調整を行った場合と国が行った2分の1調整とを裁判所自ら表にまとめて分析し、国の主張には明らかな誤謬があるとして否定し、厚生労働大臣の判断過程に被保護者の生活への影響等の観点から見て逸脱・濫用があるとしました。
さらにゆがみ調整とデフレ調整とをいずれも行ったことについても、ゆがみ調整と合わせた改定後の生活扶助基準額が一般低所得世帯の消費水準と均衡したものであって、最低限度の生活が確保されたものか十分な検証・検討がなされていないため、厚生労働大臣の判断過程に過誤があるとして裁量の逸脱・濫用を認めています。
判決後、裁判所前で弁護団と原告とが勝訴を喜びました。
報告集会でも、原告の口からは「嬉しい」、「ホッとした」などといった声が挙がると共に、「最高裁まで勝たなければならない」といった発言が出て、弁護団としてもさらに頑張らなければならないと強く再確認させられました。
岡山知事選・衆議院議員選挙の翌日というタイミングであったにもかかわらず、多くの報道陣が詰めかけ、改めてセーフティネットを守る戦いの重要性を痛感しました。
残り2つの地方裁判所の判断も期待して待ちながら、最高裁での勝訴を目指して頑張りたいと考えております。
引き続きご注目とご支援をお願い致します。