
2025年6月27日、最高裁は、2013年からの史上最大の生活扶助基準引き下げを違法とし、保護費減額処分の取消しを命じる判決を言い渡しました。
■ 6月27日、最高裁判所第三小法廷で歴史的勝訴判決!(判決全文、声明、要請書なども掲載しています)(2025.6)
判決を受けて、国は、2026年3月から、まずは原告、次に原告以外の生活保護利用者に対し、順次、違法に減らされた保護費の追加給付を開始しています。 総額2000億円、支給対象は300万人に及ぶ、世界的にも前代未聞の大事業です。
しかし、国の追加給付策は、私たちが求める全額補償にはほど遠く、違法とされた「デフレ調整」と別の理由(最貧困層の消費額)を持ち出して、補償額を約半分に値切るとともに、原告と原告以外を差別・分断する内容となっています。
■ 厚生労働省が新たな減額改定を含む最高裁判決への対応策を公表したため、緊急声明「生活保護利用者の人間の尊厳を再び踏みにじる司法軽視の再減額方針の撤回を強く求める」を発出しました(2025.11)
この国の方針に対しては、司法を軽視するものであるとして、法律家から批判の声が相次いでいます。
■ 最高裁判決への国の対応策に対し、123名の研究者声明、1300名を超す弁護士共同声明、日弁連会長声明など法律家から続々と批判(2026.1)
10年以上の裁判闘争の労苦をふみにじる、再減額(追加給付の半減)を容認することはできません。
2013年引き下げに対して取り組まれた1万件審査請求運動は、わずか2ヶ月強で目標を達成し、3年間で3万件近い審査請求が提起されました。
そこで私たちは、再び、以下のとおり呼びかけます。
最高裁判決を愚弄する再減額を許さず、
全国各地で審査請求を大規模に行いましょう!
めざせ1万件審査請求、再び!
まずは、上記のチラシ(表面:追加給付編、裏面:審査請求編)を読んでみて下さい。
審査請求書(PDF)
審査請求書(Word)
こちらが、審査請求のひな形になっています。ダウンロードして印刷すればそのまま使えます。
追加給付決定通知書をなくさないよう保管して、審査請求を申し立てましょう!
■ 2026年5月14日(木)10時~18時に無料の相談ホットライン(1日限り)を実施します
フリーダイヤル 0120-157930
※詳細は、4月2日の審査請求キックオフ集会での小久保弁護士の報告動画(約40分)と資料もご参照ください。
■ 4月2日(木)、「いのちのとりでを守る 新たな一歩 キックオフ集会~司法軽視の再減額処分に1万件の審査請求を!~」開催
「生活保護を利用中」または「利用歴のある方」は、違法に減らされた保護費の追加給付を受けられます。
Q1 いつから追加給付されるの?
A 2026年4月以降、自治体の準備状況に応じて順次支給される見込みです。ただし、生活保護利用世帯の数などによって、支給時期が遅れる可能性もあるので自治体に確認してください。
Q2 誰が追加給付の対象?
A 以下の期間に生活保護を利用していた方は、幅広く追加給付の対象になります。
現在、保護を廃止されている方も対象となるので、国によると支給対象者は300万人にのぼります。ただし、現在は保護利用歴があるが廃止されている方は申請が必要なので注意してください(Q4参照)。
■生活扶助(居宅基準) :2013年8月から2018年9月まで
■期末一時扶助、障害者加算など:2013年8月から2026年3月まで
Q2-2 生活扶助や母子加算の追加給付が、2018年9月で打ち切られるのは、おかしくない?
A そのとおり、おかしいです。生活保護基準部会の2018年検証をふまえ、2013年改定とは別の理由で2018年10月から新たな引き下げ(生活扶助・母子加算)が行われたので、そこで「リセット」されたというのが国の言い分です。
しかし、2018年10月以降も「激変緩和措置」(3年かけての段階的削減、削減額を最大5%内におさめるための経過的加算)を通じて違法判断を受けた2013年改定の影響が続いています。新しい裁判では、この点も争点のひとつとなるでしょう。
Q2-3 生活保護利用者が亡くなったらどうなる?相続人も追加給付を受けられる?
A 亡くなったら追加給付は受けられません。生活保護受給権は「一身専属権」で相続されないという朝日訴訟の最高裁大法廷判決(昭和45年5月24日)があるからです。
しかし、この判決には承継を認めるべきという反対意見もあります。特に、国の徹底抗戦によって裁判が10年以上の長きにわたり、最高裁判決後に亡くなる人も相次いでいるのに何の補償もされなくてよいのかという声もあります。
Q3 追加給付される額は?
A 住んでいる地域、世帯構成、生活保護を利用していた期間によって異なりますが、国は、60代単身で10.5万円、30代夫婦と4歳の子世帯で20.4万円といった2類型を示しています(都市部・居宅・全期間の場合。地方部や内訳の詳細は下記リンクを参照)
厚労省が2025年12月19日、自治体向け説明会で配布した資料(非公表)では、以下のより詳細な追加給付額の例が示されています。ただし、上記の公表資料では少し金額が増えているので、非公表資料は、若干不正確な可能性があります。
Q4 保護利用中の場合:どのような手続が必要?いつから支給される?
A 申請は不要で、現在の自治体からプッシュ型で支給されます。ただし、複数の自治体で保護を利用している場合、転居前の自治体への申請が必要です。
2026年4月時点で支給が始まっている自治体もありますが、自治体の準備状況に応じて支給時期には、かなりバラツキが出そうです。当該自治体に問い合わせてください。
Q5 保護利用歴があるが廃止されている場合 :どのような手続きが必要?いつから支給される?
A 保護を利用していた自治体への申請が必要なので注意してください。
厚労省は、現在保護を利用している方への給付が終わった後、2026年夏ころから申請を受け付け、その際には、新聞やラジオなどでの広報も行う予定であると説明しています。大阪市など大きな自治体では、申請受付のための相談センターが設置される可能性もあります。
申請書の書式は、以下のとおり、かなり複雑な内容になっています。お年寄りや障がいのある方が自力で完成させるのは困難な場合も多いと思われ、支援が必要です。
申請には、以下の書類の添付が必要とされています。「顔写真付きの本人確認書類」をひとつも持っていない方もいますが、厚労省は、そのような場合の代替策について、申請受付までに明らかにするとしています。
なお、私たちは戸籍謄本等について、年金裁定の場合と同様に無償とすべきだと要求しましたが、厚労省は拒否しました。
【必ずご提出いただく資料】
以下のいずれか一つ(申出者の顔写真付きの本人確認書類)
【必要に応じて提出いただく資料】
Q6 わからないことは、どこに聞けばいい?
A 国が設置する「追加給付相談センター」(正式名称:最高裁判決をふまえた保護費の追加給付相談センター)に問い合わせてください。
■ フリーダイヤル 0120-179-445(平日9時から5時まで)
以下の「追加給付相談センター」の特設HPの説明やQ&Aも参考にしてください。
■ 最高裁判決を踏まえた保護費の追加給付相談センター(厚生労働省)
国は違法とされたのと別の理由を持ち出した再減額をして、減額された保護費の約半分しか追加給付しない方針です。
違法引き下げを断罪された厚労省 3つの大罪
1 違法行政に対する真摯な反省と謝罪がない
2 別の理由を蒸し返して補償額を半分に値切る
3 原告には「特別給付金」を出して原告以外と分断
「追加給付決定通知書」をなくさないよう保管しておいて、全額補償しないのは違法・不当だと、皆で不服を申し立てましょう!
「追加給付決定通知書」をなくさないよう保管しておいて、全額補償しないのは違法・不当だと、皆で不服を申し立てましょう!
Q1 審査請求って?
A 福祉事務所の処分に対する不服申立の手続です。保護費をいくらにするかも「処分」にあたります。あとで処分取消しを求める裁判をするためには、その前に、この審査請求をしておかなければなりません(審査請求前置主義といいます。生活保護法69条)。
Q2 どこに出すの?
A 都道府県知事に提出します。または処分庁(地元の福祉事務所)に提出してもよく、この場合、処分庁は都道府県知事に送付しなければなりません(行政不服審査法21条)。
Q3 いつまでに出すの?
A 保護費の「追加給付決定通知書」を受け取った日の翌日から3カ月以内です(行政不服審査法18条)。この期間を過ぎてから審査請求しても、不適法なものとして却下されるので注意が必要です。
Q4 追加給付を受け取っても争えるの?
A 被害の一部として受け取ったうえで、「半分に減らされているのはおかしいから全額払え」と争えます。
Q5 裁判までするつもりがなくても審査請求できるの?
A もちろんできます。審査請求後に裁判(処分取消し訴訟)までするかどうかは、それぞれが自由に判断すればよいことです。現時点で裁判までするつもりがなくても、審査請求はある面、気軽に申し立ててください。
Q6 保護を廃止された人も争えるの?
A 厚労省は保護を廃止された人は審査請求できないとしています。しかし、同じ保護費の追加給付処分なのに争えない理由はありません。遠慮せずに審査請求しましょう。
ただし、この点も審査請求や新しい裁判での争点になります。また、保護を廃止された方の「追加給付決定通知書」には、審査請求ができることの教示が記載されていません。審査請求書の「審査請求の教示」欄は「なし」にチェックしましょう。
Q7 1人でやるのは、むずかしいけど、誰かに手助けしてもらえる?相談先は?
A 審査請求は代理人を立てられます。弁護士でなくてもいいので、支援してくれる人に相談してください。
■各地の「生活と健康を守る会」
全生連HP【各地の生活と健康を守る会】
■各地の生活保護支援法律家ネットワークなど
生活保護問題対策全国会議 -生活保護のことで相談したい場合は、こちらへどうぞ(相談先リスト)
Q8 「お上」にたてついたら、福祉事務所からいやがらせされない?
A そんなことはありません。審査請求は権利であり、不利益な扱いは許されません。権利意識があり、支援者ともつながりのある当事者は、むしろ丁重に扱われる傾向にあります。万一、福祉事務所から不当な扱いをされた場合には、Q6の相談先に相談してください。
Q9 具体的にどうしたらいいの?
A
1 保護費の「追加給付決定通知書」をなくさないよう保管しておいてください。(仮になくしてしまっても審査請求はできます。福祉事務所に、追加給付決定は何日付けか、通知をあなたに渡した日がいつか聞いてください。記憶に基づいて記入しても構いません。)
2 審査請求書には、決まった事項を記入する必要があります。下の「審査請求書」の□に必要事項を記入してください。
3 審査請求書は、2通(正本と副本)を提出する必要があります。コピーを2通とり、2通を提出して、1通を手元で保管してください。保護費追加給付決定通知書のコピーも2通とって提出するとベターです(これはなくても構いません。)。
審査請求書(PDF)
審査請求書(Word)
Q10 審査請求書を出したら、後はどうなるの?
A 審査庁(都道府県)は、審理を担当する「審理員」を選任します。審理員は、都道府県の職員であることが多いですが、弁護士が委任を受けている自治体もあります。
審査請求書に書かれていることに対して、処分庁(地元の福祉事務所)から「弁明書」が提出されるので、これに対して審査請求人は「反論書」を提出できます(提出しなくてもかまいません)。
審査請求人は、審理員や行政不服審査会に対して「口頭意見陳述」を行うこともできます(行わなくてもかまいません)。
双方の主張が出そろえば、審理員が意見書を書きます。審理員意見書が棄却意見の場合は、特に反対の意見を述べない限り、「行政不服審査会」に諮問され、同審査会が「答申」を出します。審査会の委員は、学者や弁護士であることが多いので、審理員意見よりも前向きな判断が出されることも少なくありません。
審査会の答申をふまえて、都道府県知事が最終的な「裁決」を出します。
Q11 都道府県知事(審査庁)の判断(裁決)は、どれくらいで出るの?
A 法律(生活保護法65条1項)では、70日(行政不服審査会に諮問する場合)又は50日(それ以外の場合)以内に裁決をしなければならないと定められています。しかし、実際には、裁決までそれ以上かかる場合が多く、一部の地域(大阪府など)では1~2年以上かかることも稀ではありません。
Q12 裁判(処分取消し訴訟)をするかどうかは、どのタイミングで判断することになるの?
A 処分の取消訴訟は、裁決のあったことを知った日から6ヶ月以内に起こさなければなりませんので(行政事件訴訟法14条)、裁決が出れば、訴訟提起に向けた準備を本格化することになります。
一方、Q11で見たように、法律で定められた70日(又は50日)以内に裁決がされないときには、審査請求が棄却されたものとみなして取消訴訟を提起することができます(生活保護法65条2項)。ですから、都道府県知事がいつまでも裁決を出さないときは、どこかの段階で取消訴訟に踏み切ることもできます。