まったくの誤解です。通常の方式であるラスパイレス方式やそれと並んで有名なパーシェ方式は、掛け算、足し算、割り算、引き算だけで計算できます。
難しい算式を知る必要はありません。頭に刻み込んでほしいのは、買い物かごのイメージで計算していることです。日常の生活ではさまざまな品物やサービスを買います。
それらを大きな「物価指数計算用買い物かご」に入れるイメージです。物価が上がれば、この買い物かごの合計代金は増加し、物価が下がれば、買い物かごの合計代金は減ります。
ラスパイレス方式とパーシェ方式に共通する計算の構造を、買い物かごのモデル図を見ながら考えてみましょう。
比較時点は、物価水準を測ろうとする時点です。その比較時点の水準を考えるには、それより前の時点と比べることが必要。その比較の起点になる時点のことを基準時点と呼びます。
四角の枠で囲った赤い字が一番大事。買い物かごの合計代金の変化率が物価指数の変化率と一致します。物価指数の変化率を出すには「比較時点の合計代金が基準時点の合計代金の何倍になったか」を計算すればいいのです。
この倍率を100倍したのが物価指数。合計代金が3割増えたら、倍率は基準時点が1倍、比較時点が1.3倍です。物価指数は、基準時点100、比較時点130ということになります。
結局、比較時点の物価指数は、比較時点の合計代金を基準時点の合計代金で割って100倍すれば出せることになります。
このように計算できるのは、あと2つ重要なルールがあるからです。まず、基準時点と比較時点の品目は何百品目あっても一致させます。そして、各品目の代金は、各品目の価格変化率に完全に連動して変わります。各品目の代金は「単価×数量」です。物価指数の計算では数量を固定するのが決まり。各品目の数量を固定すれば、単価(価格)の変化率イコール代金の変化率となります。
図の品目(1)の価格が、基準時点~比較時点で2割低下したら、品目(1)の代金は基準時点~比較時点で2割減少します。品目(1)の基準時点の代金がA円で比較時点の代金がA′円とすると、A′円=0.8×A円というわけです。