「基準時点~比較時点に計算上の数量がどれだけ増えたか」。この計算式は「価格指数が何倍になったかの倍率の逆数×支出額割合が何倍に上昇したかの倍率」ということになります。割合すっきりしています。
なぜ、これでいいのか、今回もA22のモデルで考えます。「支出額割合は基準時点1%、比較時点2%、価格指数は基準時点100、比較時点25」という仮定。価格指数が4分の1に下落したのに数量が8倍に増えたので支出額割合は2倍になりました。100万円ベースの買い物かごでは、基準時点の代金が1万円、比較時点の代金は2万円です。便宜上、基準時点の購入数量を1箱とします。
段階的に考えます。下の図を見てください。まず、数量が1箱のまま変わらなかったらどうか。価格は4分の1になったので、比較時点の代金は1箱の2,500円です。次に数量が4倍に増えたケース。この4という数字は、価格指数の変化倍率である4分の1の逆数です。比較時点に数量が4箱になっていれば、比較時点の合計代金は「2,500円×4」の計算で1万円になります。
ここまでの計算を一般化して書くと、「比較時点の代金=基準時点の代金×価格指数の変化倍率×その倍率の逆数」。この「倍率×倍率の逆数」の部分の答えは「1」なので、「比較時点の代金=基準時点の代金」となります。数量増加の倍率が「価格指数が何倍になったかの倍率の逆数」であれば、比較時点の代金は基準時点と同じになるのです。
最後の段階では、価格の動きと関係なく、数量の変化と支出額割合の変化の関係を考えます。価格の動きがないものと仮定して考えるわけです。
ここは簡単でしょう。数量の変化率と支出額割合の変化率は同じ。数量がX倍に増えれば、支出額割合がX倍になるという関係になっています。このモデルだと、支出額割合は基準時点が1%、比較時点が2%なので、数量変化の倍率は「2%/1%」で「2」です。買い物かごで言えば、「比較時点の代金/基準時点の代金」なので、このモデルでは「2万円/1万円」でやはり「2」です。
結局、途中段階の「価格指数の変化倍率の逆数」に最後の段階の「支出額割合の変化倍率」を掛ければ、計算上の数量が何倍に増えたかの計算式になります。最初に示した「価格指数が何倍になったかの倍率の逆数×支出額割合が何倍に上昇したかの倍率」です。今回のモデルでは「4倍(4分の1倍の逆数)×2倍」という計算で8倍という倍率が出てきます。