消費者物価指数については、世界各国の担当機関がラスパイレス方式で計算しています。パーシェ方式は使われていません。
パーシェ方式が理論的に駄目というわけではなく、実務的な理由からです。世界各国の担当機関は、最新の消費者物価指数を計算して公表します。日本では、毎月の下旬に総務省統計局が前月の消費者物価指数を計算・公表しています。パーシェ方式で計算しようとすると、最新時点である前月の支出額割合の数字をもとに計算することになります。添付したイメージ図を参照してください。
こうした作業が無理なのです。消費者物価指数の対象品目は、日本の場合だと約600品目もあります。支出額割合は家計調査にもとづいて設定されますが、大がかりなアンケートを実施しないとまとめられません。毎月毎月、最新の支出額割合を設定することはとてもできないのです。
その点、ラスパイレス方式だと作業はスムーズです。日本の場合だと、基準時点は年単位の基準年であり、2005年、2010年、2015年が基準年になっています。2005年を基準年にした計算は、2006年~2010年に行われます。2005年の家計調査に基づいて設定された2005年基準の支出額割合の数字を5年間にわたって使えるわけです。